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執筆者の写真BORAM Co.,Ltd.

技術ブログ/6 土のすべり面形状と土圧(その1)

1.はじめに

 土のすべり面については崩壊現場や模型実験などにより、以前からさまざまな形状が観察されてきました。設計業務においては比較的シンプルなこともあって、直線や円弧が多用されていますが、破壊メカニズムや抗土圧/安定対策構造物のタイプなどに応じて複合すべり面、Two-wedge surface(2楔法)や対数らせんなども用いられてきています。ここでは、円弧・Two-wedge surface・対数らせんの3つのすべり面形状について簡単な検討を行ってみました。


2.すべり面の特徴

(1) 円弧すべり面の特徴としては、①安全率が上界値を与えること、②モーメント安全率のつりあい式において円弧半径Rが分母・分子の両方でキャンセルされること、③図-1の摩擦円(半径R sinφ)の便法が適用できること、などにあるかもしれません。摩擦円法を用いた巧みな安定計算法は現在、ほとんど用いられていませんが、パソコンが一般的でなかった時代においてはTaylorの安定図表の作成などで大いに活躍しました。

図-1 摩擦円について1)



(2) 対数らせんの特徴としては、①砂(c=0、φ)では安全率が正解値となること、②反力Rの方向がらせんの極(pole of the log spiral)の方向と常に一致すること、③支持力計算、トンネル切羽・土留め壁の安定解析や逆T型基礎の引揚問題などの各方面に広く適用されていること、などにあるかもしれません。これは、対数らせん形状が円弧と直線の中間的な性質を有しており、実際に観察される多くのすべり面にフィッティングしやすいことも理由の一つと思われます。

図-2 対数らせんについて2)



(3) Two-wedge surface(2楔法)の特徴としては、①極限つりあいの検討領域が隣接する2つのブロック体により構成されること、②補強土壁・地山補強土工法やKranzによるグラウンドアンカーの内的安定の検討など、主に複合構造系・補強構造系に対する検討に適用されていること、などにあるかもしれません。2つのブロック体の境界位置としては、アンカー体や補強材の末端部(最深部)において設定する考え方が多いようです。

図-3 Two-wedge surface(2楔法)について3)



(その2)においては引き続き、対数らせん、Two-wedge surface(2楔法)によるすべり面形状と計算土圧との比較について検討する予定です。



参考文献

1) 名城大学 社会基盤デザイン工学科 小高研究室:「土質力学講義ノート(H17年度)」(https://civil.meijo-u.ac.jp/lab/kodaka/lecture06/no1.pdf)

2) P.Mrunal, J.N.Mandal, D.M.Dewaikar:Computation of bearing capacity factor Nγ, International Journal of Geotechnical Engineering, Jan. 2014, pp372-382

3) M.J.D. Dobie:Design of reinforced soil structures using a two-part wedge mechanism based on AASHTO/LRFD, Geosynthetics Conference 2015, Portland Oregon, pp525-534

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